2013-01-01から1年間の記事一覧

去年書いた短文

しっかりとコンクリートで詰めたはずのドラム缶の中から、またゆっくりと顔が現れこちらを覗いている。まるで中は空っぽであるかのように造作がなかった。別段魅力のない四十がらみのおじさんだった。自分の背より高いドラム缶なので、こちらから中を覗くこ…

職場は割とシャレならんことになっている

部屋にずっと置いてある土産物の毬藻は、水の中に灰色の同じような形の黴が生えはじめてきっと枯れるのだろう。今年はじめに鎌倉で買ってきたものだ。水をこまめに入れ換え、もみ洗いしていれば、長生きするものだとどっかネットで書いてあったけれども、そ…

高島平の団地

17280歩歩いた。 赤塚の、名も知れない通りを右に左に、そこから赤塚植物園、板橋区立美術館を抜け、大宮バイパス(?)を通り荒川を渡り、笹目橋を越えた町でローソンに入りアイスを買う。そこから、ほぼ同じ道で帰ってくる。 人から見たら全くの徒労…

十五日

たとえばもし読書家が、自分の好きな本を独自の分類で棚に並べたような小さい図書館を庭先に作ったとしたら、道を行く人は立ち止まるだろう。日頃からそんなことを考えていた僕は、まさにそれと同じ発想のものに出くわしたのだった。(坂口恭平「TOKYO一坪遺…

関町

関町に行ってきた。 白川静「字統」を、白川静本人が言うとおり「辞書は丸ごと読」んでいると、序文で白川静が尊敬している、かどうかは知らないけど辞書界のマスターピースとなっている作品とその著者について触れていたから、その辞書なり著作をもし著作権…

銭湯その他

酔っている人の話を読んで、ふとトイレに行き、そのトイレに流されていない小便が残っていた。それを自分が酔ってここにしたのを忘れたのではないかと、自分が酔っているときでさえやらかさない失見当識を疑うこれは何だ。 喫茶店にいる。 例によって、この…

イカと醤油

日記とはつまらん、やっかいかな。 気苦労ばかりだ。 朝、なんか本読んでたっけ? 水道橋博士が今朝ラジオで「僕は引きこもりだった頃に学校とか行けない腹いせみたいなもので本をずっと読んでいたが、そのうちビートたけしが師匠になったりして、日常がドラ…

2013年10月31日

これはポメラですか? いいえ、奇跡の道具です。 それでは、どうしようもないではありませんか。 いいえ、総てがここから始まるのです。 そして、総てがここから始まった。 ……ふむ、上々のすべり出しじゃないか。 書くことの不可能が可能を生み、自由が不自…

きのうが前々夜だった今日は前夜

伊集院光は今はマイブームは全国のありとあらゆるバッティングセンターを巡ることだ。東京はもとより関東一帯を早々に制覇し尽くし、それどころか日本全土のありとあるバッティングセンターを、踏破し尽くしたそうだ。 となれば、ここのバッティングセンター…

前夜

10月24日に休みにヤマダ電機に行って、デジタルメモ「pomera」というものを注文した。KING JIM デジタルメモ「ポメラ」 DM100クロ ブラック出版社/メーカー: キングジム発売日: 2011/11/25メディア: オフィス用品購入: 13人 クリック: 923回この商品を含むブ…

酔っ払いの幻覚

「バナナって、酵素あるよね?」 「いや、さあ……。酵素?」 「酵素あるよ。だって、なんかで、バナナ酵素あるイメージあるもん」…… そうこうするうちに、練馬駅へ着いた。ネオンが輝く時の、燃える時のほのかに爆ぜる音がして、電極が電価を交換した。線路が…

ツイッターのまとめ

日記を書くのがめんどうなため。 ほら、書を手に取り、そして最後まで読んで見たまえ。全く壊れることがないだろう。書の造りには、それを何度も読めというメッセージが込められているのだ。— Pさん/米田 (@pyidesu) 2013, 9月 1 ヴァージニア・ウルフを読め…

おとつい買ったもの

volca keys、volca bass、volca beatsは、予約が殺到している状態で、現物を手に入れることが出来なかった。 それらに使うはずだった単三水素電池も、あとで買うことにした。 デジカメは買った。これが一番大きい買い物だった。買ってから、すでに40枚は写真…

明日買うもの

働き始めてからは、とても取れないほど長い休暇をもらったあと、きのうが夜勤入りで今日が明けなので明日は休みだが明日買うものが一杯ある。 休みをもらったのは背中の靱帯がねじくれて動けなくなってしまったからだが、職業柄、そのことはまたたく間に正確…

ええと、その、あの

今日は完全に無駄に過ごした。起きては、チャットして、また薬の作用で寝てしまって、起きた。 この無為には覚えがある。そして、その解決法にも覚えがある。だから、実行するべきだ。今日のような明日を過ごさないために。

密閉世界

仕事で腰を痛めてしまって、しばらくのお休みをいただいた。西洋医療というのは、何はともあれまずは対象を密閉するところからはじまる。とりあえずは静養だ、安静だ、さもなくば入院だ、面会謝絶だ、食事はこれこれで、ここより外へ出ることを禁ずる。 そこ…

テキストを

テキストを飢えとして把え、それが次のテキストを読み込む/生み出す。飢えは、渇いてひっついた食道に水が通るまではそれとは気付かれないからな。

トンネル

国境の長いトンネルを抜けると向こう側であった。 朝吹真理子の「いりくちでぐち」は最高に面白い小説だ。これは写真家との連名の作品だけれどもそれは気にはならず、最終的には二人がいた空間を問題にしている。 川上弘美に正面からケンカを売っている。 の…

古井由吉の喋り

お笑い芸人に対して、とんでもないことを語っている。 ここでお笑い芸人と言っているのは、別にバカにしているわけではなく、その価値を留保しているつもりだ。 言語はまずピクチャーとして人の前に現れた。およそ4000年前のことだ。言語とは、どういう…

連休

おとといと、きのうが連休だった。それは週休二日の人には当り前かもしれないが自分は違う。一日目、二日目と数えるように休みを堪能した。 一日目は西東京の方まで自転車で行った。花小金井は何の変哲もない街だった。小金井公園という、東京でも有数の広さ…

夏休みの宿題

今週のお題「宿題」 中学の頃、生物の宿題を出さずに九月一日を迎え、そのまま十日、二十日と過ごした。生物の先生は笑顔で、誰とも言わずに「まだ宿題を出してない人がいますねえ」と授業中イヤミを言い続けた。先生は小太りの白髪で、それまでは別にその先…

今日あったこと

絵画における絵筆の痕跡は、幾何学的時間の経過を表すものではない、それ自体が絵画に含まれ閉じられた時間のようなものだ。ちょうど、文章が直線に流れる時間のようでいて、実は現実の時間とは独立した違う時間が流れていてそのことを利用し表現するのと同…

自分への命令

言葉になりがたい印象を可能な限り頭にとどめておけ! それは格段に難しいはずだ。 今日も超自我から無茶な指令が届く……

銭湯

かれこれ銭湯に通いつづけて四日目だ。銭湯に入ってはじめて、ふだんから全く湯船に浸かるという習慣がないことに気がつく。湯船に入ると、主に肺に向かって圧力が働いて息苦しくなる。露天に「王様風呂」と名付けられた、42度に調整された湯がある。半身な…

ゴッホがミストラルに抗して風景を描く為に画布と自らの身体を縛りつけたように

今僕は映画館の座席に縄で縛りつけられている。必要な食べ物はセクシーな女性が口まで運んでくれることになっているが、さっきからトイレに行きたくて仕方がない。よりによって寅さんを見せられている。寅さんは今でこそ、親しみが湧きいざという時に名言を…

夏目漱石には何の怨みもないが……

一つのマンガは衝撃を受けるようなマンガは初めは内部の空間どおりに感じる。二回目に読むと空間はコマ割りと視覚に転じる。言葉はそのままでそのまま違う空間に平行して流れる。言葉はロゴスとは言うがほとんど本能に近い。考える余裕のない人達の代りに考…

書くことは気晴らしになる

恥だがやるしかない。理性こそが私なのかそれとも衝動こそが私なのか。もうかれこれ何ヶ月も水を変えずに放って置いている鞠藻がキーボードの横にあるけれども今だに青々としている。鞠藻は死ぬと茶色になるというからこれはまだ生きているらしい。鞠のよう…

寄る年波には勝てない

日々の生活を少しずつでも更新しようと動きつづけること。それがいずれ最適解になることを願って、ではなく、動きつづけることにのみ意味がある。 今日歩きで通った道を明日は自転車で通ってみよう、とか、今日思いも寄らなかったごはんを明日は食べてみよう…

自転車で神保町まで

おとといまで雨だった今日の予報がきのうには曇になっていたので安心していたら昼頃あっさりと降りはじめた。うちと神保町を結ぶ線の中心にちょうど池袋が当たるのだがそこを越えて後楽園に差しかかった辺りだ。景気の良い曲線のレールが見えた。もう新しく…

1、大津駅

大津駅は虫が多かった。小さい虫だ。電車が通るたびにワッと散ってはまた落ち着く。駅から湖岸まではゆるやかな坂になっている。 (時間ではなく場所を基準とする記述法)駅前はよくわからない庁舎で湖岸まで伸びる四車線の真中を花壇で埋めている道があり、…