銭湯

 かれこれ銭湯に通いつづけて四日目だ。銭湯に入ってはじめて、ふだんから全く湯船に浸かるという習慣がないことに気がつく。湯船に入ると、主に肺に向かって圧力が働いて息苦しくなる。露天に「王様風呂」と名付けられた、42度に調整された湯がある。半身なら……と浸けていたら思いの外体力を奪われるらしく、しだいに体調が悪くなってきた。下半は蛋白質が凝固する寸前まで熱せられ上半には風が吹く。その感じ、何かを思い出しそうになり、そして過ぎ去った。湯上がりにはコーヒー牛乳を一杯。とりあえずステロタイプな喜びを味わう。マグロのとろろめかぶ和えを頼んだら、金箔の職人が作ったんじゃないかというくらい薄いのが出て来た。次の日にただのサシミにしたらこれは角切りでそれほど損した気にはならない。テレビはくだらない。
 明日ようやく風呂の改修が了る。