明日は誕生日

 何事も受け入れることから始まる。
 仕事もおそらくそうで、とても受け入れられないと思えること(もっとも、多少の心構えはあったけれども)を、場合によっては自己を変形させることで、無理やり受け入れていくということが必要になり、それは意識のレベルでそうすることはもちろんだけども、それより以上に無意識によって、さらには身体それ自体によって受け入れられるべき部分の方が大きいと僕は思う。
 普段は単に転がっているだけで、意識がなければただの塊であるように見える身体自体が物を覚えるという考え方にわれわれはなじみがないけれども、そもそも脳には体のモデルのようなものがあり、そこに刻印されている記憶がわれわれのイメージする精神よりは身体それ自体の形に近いとしたら、それは精神ではなく身体の方に分類されるべきじゃないかと僕は思う。
 きのう本社へ行って医学や「介護において絶対にしてはいけないこと(拘束と虐待)」について教わった。利発そうに見えるように質問を飛ばしていたら、「それは、私は研究者じゃないから……(笑)あとでインターネットででも調べておいて……」と返ってきた。たしかに、現場で働いている人間が、その場だけを何とかするノウハウ以上に、原因だの何だのが気になりはじめるとキリがなく、そこは役割分担として、他人に任せるということをしなかったら、とても立ち行かないということは、僕はとてもよくわかる。
 僕は今までずっと、一人じゃどうしようもないくらいの知識をえんえんとキリもなく遍歴して、その結果迷子になるのが常態で、今自分がなぜここにいるのかわからず、ただその前と後をつなぐ作業だけを繰り返し、わけがわからなくなり、そしてそれが正しいことだと教わった。