トレーニングルーム

 近所の区立体育館の、トレーニングルームの利用登録をした。
 今まで僕は区立図書館の利用カードを、本当に重要な知のパイプラインと感じていたけど、文系のパイプラインがそれだとしたら、体育会系のパイプラインがこのトレーニングルームの利用カードなんだろう。
 初回の案内をするお姉さんは、ずいぶんハキハキして要領も良かったけれども、僕はいつもそういう人と相性が悪い。
 なんか、常に自分の考えに没頭していて、お客さんが来たら、その延長であるかのような低いテンションの声でひと言ふた言会話を交し、
「……えーっと、それで、そのー……」
 のような接続詞を多用しつつ、一応説明というだけのノルマは達成しながら、
「……うち猫飼ってるんですけど、その猫がー、エアロバイクめっちゃ反応するんですよね。シャーっていって。……」
 などと全く不用な私事を話しはじめたりして、体も全く律されずにフラフラと好きに動いている……
 というようなお姉さんの方が僕は良かったけれどもその人は正反対だった。
 そのお姉さんに「このバーは肩甲骨に合わせて、……それじゃ低すぎです。もうちょっと一段くらい上げましょう」とか言われながら、各器具の使い方や、マナーなどを教わっていった。