鎌倉2

 先に鎌倉に行ったのは、九月七日のことだったけれども、それから二月くらい経って、また鎌倉に行った。
 ルートはほぼ変わらない。家から池袋、池袋から湘南新宿ライナーで鎌倉駅まで、鎌倉駅を出たら、商店街を抜けて、海までの大通りを滑川の河口まで歩いていく。
 前回と変わったのは、前回はその滑川からひたすら左、由比ヶ浜はほぼ完全に南に向いているから東に、浜が果てるまで歩いていったけれども、今度は右に、由比ヶ浜はほぼ完全に南に向いているから西に、浜が果てるまで歩いていったこと。
 別に東側と西側とで変わったところはないけれども、ここよりさらに先へ行くと、保坂和志の小説で有名な「稲村ヶ崎」がある。
 前に偶然か知らないけれども大量にいたヨット客が鳴りをひそめていたこと。あれはどうやらヨット教室のようなものだったらしい。
 それとひきかえに、サーフィンをやっている人がかなりいたこと。決して裸でいて平気な気温ではなかったけれども、波は高かった。
 あの頃はまだ暑かったので、ごくわずかにいた海水浴客も、いなくなっていたこと。
 また、まだ取り壊している最中だった海の家の数々が、本当に跡形なく姿を消していたこと。
 イカ娘がいなかったこと。
 彼女らは夏にしか姿を現さない。また来年捜そうと思う。