書くことについて

 どんなに書くことがないと思っても、それでも書くこと。立って歩く人間のようにではなく、ミミズのようにのたうつしか出来なくなっても書くこと。それを一時期自分に課していたはずだけれども、その頃よりだんぜん面白いことが書けなくなった。
 いわゆるニートと言ってもいいくらいになにもしていなかった頃に、それでも視界の隅に映るクズのような取るに足りないことを、いくつか組み合わして多少なりと面白く書いていた。っていうはずだったのに、いざ周りから見て「アクティブだ」とか、「見識を得た」とかいう風に見える境遇になった今、なにも書くことがないというか、書くことが面白く感じられなくなってきたのは一体これはどういうことだろうか。
 ということは、周りから「アクティブだ」とか、「見識を得た」とかいう風に見えるということが、いささかなりと書くことに対して良い影響を与えるということは、ないと見てよろしいのでしょうか。
 そんな気はなんとなくしていた。漠然と「今の自分に足りないのは経験だ」と思っていたけれども、その「経験」をガッチリと得てしまった人が書いたもののなんとつまらないことか。僕は今「天声人語」や、「ねりま区報」の巻頭を飾る「区長のあいさつ」などを念頭において言っている。
 ああいうものは、極限までつまらないものとして、見る価値がある。どうしてあそこまで、型にハマった言葉を使えるのか、見物ですらある。いや、ジャズを習いそして次代につなげることも、「いったん型に嵌める」と呼ぶのであったら、あれは型とは言わない、もしくは型にハマっていることが問題なのではない。
 よく「型にハマった文章だ」と、悪い文章を指して言うけれども、ジャズのことも考えて、もし型にハマっているからといって、それが悪いことではないのであったならば、一体それの何が悪いというんだろう。
 情動が全く発生しないことだろうか。それは近い気がする。悪口で「あれは型にハマっている」というのは、直観で型にハマっていることが悪いと感じられる。優れたジャズを聞いた時に、直観的に「型にハマっている」と言う人があるだろうか。しかしそれはいったん型に嵌めている。ふつう「型に嵌める」と言うと、それは情動を伴わないものだと思われているけれども音楽の場合は情動をともなう。自動車の運転も、あからさまに無軌道ではないから型に嵌めて練習するんだけれども、その合間に絶対に自動車事故の映像というか一部では映画とも呼ばれているようなものを流す。これには情動が伴う。

さて、昨年の夏は、太平洋高気圧が本州付近に強く張り出したため、たいへん暑い日が続きました。9月に入ってもその勢力は衰えず、厳しい残暑となりました。
気温の高さは日本だけにとどまらず、9月の世界の平均気温は、統計を開始した明治24年(1891年)以降の122年間で第1位となりました。その要因としては、二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中濃度の増加に伴う地球温暖化や十年~数十年程度の時間規模で繰り返される自然変動が重なっているものと考えられています。
私は、地球に暮らす一員として、できることから環境にやさしい行動を実践し、かけがえのない地球を次の世代に引き継いでいけるように皆様とともに取り組んでまいりたいと考えています。

その暑かった夏に、私たちの心を躍らせるスポーツの祭典が行われました。ロンドンオリンピックパラリンピックです。オリンピック3連覇の偉業を成し遂げたレスリング女子の吉田沙保里選手、初の銀メダルを獲得した女子サッカーのなでしこジャパンなど、オリンピック293名、パラリンピック134名の日本選手団のみなさんが、これまでに積み上げてきた練習の成果を競い合う真剣な姿は日本中に感動を与えました。

 つまらない。クソつまらない。情動が全く発生しない。逆にすごいことだ。「私は、地球に暮らす一員として、できることから環境にやさしい行動を実践し、かけがえのない地球を次の世代に引き継いでいけるように皆様とともに」本当にそう思って言っているのか? 「その暑かった夏に、私たちの心を躍らせるスポーツの祭典が行われました。ロンドンオリンピックパラリンピックです」パラリンピックの名を出す時に、心の一片でもそれが実際に立ち上げられた瞬間の、人々の生々しい苦しみと喜びとに思いをはせることがあったか?
「うまくつなげて」いるように見えて、ここにあるのはゴロゴロ転がっているツギハギの印象だけだ。しかしここには無限の注意が働いている。この「パラリンピック」という単語が発される時に、いささかも実際の障害者が頭をよぎらないように、文の流れをそぐ不用な印象が差し挟まれないように、注意深く単語を択んでいる。

わが国に未曽有の大災害をもたらした「3.11」東日本大震災。あれから、1年と10カ月という月日が経とうとしています。
私は、本年が、被災地の生活と地域経済の再建、そして、活力ある日本を再生するためにも、復旧・復興事業がこれまで以上に加速・進展する年となることを強く望んでいます。

 これが日本の都心、新宿の区長のあいさつなのだからな!