超訳…

 今日は、仕事しかしなかった。
 仕事でやった新しいことを味わったり、何か適当な他のことをしたりという気力が今日は沸かなかった。
 帰ったら寝るのがやっとで、目を覚ましたら上体を起こすことすら物憂い。
 回転するのは頭ばっかり。
 ヴァージニア・ウルフが「私だけの部屋」で、「もし世の中を動かすのが女性であったならば、戦争なんて無益なことはしなかっただろう」というようなことを言っていた。
 それだけだったら、女性優位な社会であればいいとか、そういう良さを持った女性をじゃあ大切にしようとかいう、くだらないとは言わないまでも、「それだけでいいの?」と思わせるような変な結論にも至りかねないけど、この本ではその前後で、「男は所有するということに奇妙な情熱を注ぐ。道を歩けば、男の名前のついたストリートを歩かなければならない」というようなことも言っている。
 だからヴァージニア・ウルフが問題にしてるのはその所有に関する欲望(と、そもそも個人の欲望なんてものが世の中を支配してるということ)なのであって、それを保証するフレームがそのままで、人間だけ女性にすげ替わったところで、それじゃどうしようもないんじゃないの? ということが、その周りを読めばわかるようになっている。
 わかりやすく一つの話の単位に切り取ってしまうと、こっちの言いたいような文脈に、どんな言葉だってなってしまう。
 凝りもせずに「超訳ニーチェ」の続巻が平積みになっていた。あれがしようとしているのは、そういうことだ。


荷風戦後日歴 第一:26/60
 今日はちょっとサボらして下さい。
 余裕はだいぶ見積もってるから大丈夫。