写真一「葉」


 今日、久しぶりに撮った写真。
 切り株。根を張ってまだ生きているので、徐々に盛り上がっている。
 仮に死ぬ過程が死に含まれないとしたら、斬首刑で転げ落ちてもまだ瞬きをする首と同じように、切り株になってから何年も経ったこの木も生きている。
「丘」という名前が付いているにも係らずほとんど登ったことがないこの公園の丘を登りつめる手前に切り株はあって、たまに東京からも仄見える山の嶺と同じくらい莫然と聞こえてくる遠い車のうなり以外には、冬の夕暮れ時では人はおろか鳥すら鳴いておらず非常に静かで、東京でも周囲100mほどに一切何もなければ壁など使わなくてもこれほど静かになるものなんだと感心した。
 卵パックのような出っ張りを駆使した遮音室の静寂は決して静寂ではなく、二分もいれば耳が痛くなってくる。静寂というのは音波が一切発生しないことなのではないという簡単なことすら東京に住んでいるとわからなくなってくるので意識して探し出さなければならない。