今日おぼえた詩

村娘

畑を過ぎる鳥の影
青々ひかる山の稜

雪菜の薹を手にくだき
ひばりと川を聴きながら
うつつにひととものがたる

陽が照って鳥が啼き
あちこちの楢の林の、
けむるとき
ぎちぎちと鳴る 汚ない掌を、
おれはこれからもつことになる

 最近、なにかをしっかりと覚えるということを全くやらないので、なんか楽しいです。
「薹(とう)」というのは、くきの長い菜の総称。「ふきのとう」の「とう」。成長しきって食べるには固くなりすぎてしまうところから、人が盛りを過ぎるたとえに使われる「とうが立つ」の「とう」。
 これらはどちらも「春と修羅 第三集」(ちくま文庫「宮沢賢治全集 2」)内の詩です。