チェルフィッチュ考察

 演劇で完全な口語を再現するには、いわゆる口癖とか、意味のない単語とか、間違って言った単語とか、そういうの全てを台本にいったん書いて、それを読ませる、とすれば、うまくいくように思える。
 でもたぶんそれをやってみようとしてもうまくいかない。言い間違えとか意味のないような単語とかいわゆる口癖とかは、もともと言いたいことがあってその周りにエビフライの衣みたいに水で溶いた小麦粉を油の中にバッ! バッ! て撒いてもともとのエビの何倍もの大きさに衣を付けるかのように生じるものじゃなくて実は、そういう余計なものとの相互関係で話が進むみたいなところもあるので、というか「余計なもの」と「そうじゃないもの」はたとえば作者が分けたりするのでその境界線はどこで生じるのかみたいなところもあって実は、でも本当は喋るその本人の中で生じるはずなのに、その「手順」で再現したりするとその分け目が見えたり手順が見えたりする。
 しかしそれは最初の「完全な口語を再現する」という目的があるからで、そもそも作ったものが最終的にそれに一致するわけがないと思っていれば、というか実際そうだから、ある程度ポータブルな(?)、付けて替えることができる口語の素材みたいなものを使って、それをブロックのようにして組み立てることが考えられる。