作業(夜更かし)

 何でパソコンつけてるのに部屋にいるのにそっちで書かないで携帯で書くんでしょうか。寝転がって書けるからでしょうか。パソコンで万全の態勢を整えると逆に、なんか思いつきづらくなります。申し遅れましたわたくし、ポンコツ電気工業社のPと申します。以後よろしくお願いします。我が社の製品の導入、検討していただけましたでしょうか。社運をかけて研究製造いたしましたこのポンコツハイパーロボット、なんと一日三度しか人間の首を絞めません!
 今日もくだらないこといってますけどね。コーヒーけっこう飲んだおかげで、寝てないのにこの時間までおめめぱっちりです。
 そう、ここから寝る時間を遅くしていって、逆に早寝早起きにする作戦を、敢行しています。うまくいくといいんですけどね。
 さっきまで、最近また集中してやり始めた、青空文庫のボランティアの作業(すでに入力されているテキストの校正と、自分で入力して青空に送る予定の入力ファイルの見直し、まあ校正)をやっていました。
 そのうち他人の入力したファイルの校正の作業、「一校」つまり最初の見直しの作業が、終わろうとしています。
 カフカの「城」というやつなんですけど、これ、めっちゃめちゃ長くて、もうかれこれ、どれくらいだろうな、一年? 近くやってます。ついに「一校」が終わりそうなんです。三百ページ、なんですけど、文学全集って、知ってますかね、ふつうより、一回り大きいサイズのごつい単色の本があって、中が、小さい活字で、三段組、わかりますかね、縦書きが三分割されて三つ流れるような、そんな風に詰め込まれた三百ページなので、これ、尋常な量じゃないです。たぶん、僕のやってきた作業の中で一番長いです。
 これ、誰かと手分けして出来ないかという考えが、何度も何度も頭をよぎりましたが、作業のシステムがそうなっていないので無理そうです。システム以前に第一に、これの校正を「やりたい!」って人が、少なくともあと一人は、いなきゃいけない。
 いたとして、作業の精度というものがありまして、僕はたいていの人より気をつけてやっているというのは自分で調べてわかったのですが、そうすると、その相手の精度が低かった場合、僕その人に任せて平然としていられるかどうか、相手の校了ファイルを自分で見直す手を留められるかどうか、はなはだ自信がないです。それやってしまったら、完全に二度手間じゃないですか。
 もっとも逆パターンで、相手にそれを指摘されるビクビクも、ありますけど。
 僕が地獄を見ているのは何よりもこの点で、というのはつまり、ボランティアなのをいいことに、作業の中心となる部分の精度について、たぶん僕の想像するところでは出版社とかの中では設定されているクオリティーに関して、青空文庫は決めていないし、おそらく決めることが出来ないというところなのですね。ボランティアさんに、そんなこと言えないっていうのも、わかりますから。
 つまり僕がいったいどこまで技術を高めればいいのかというところも青天井だし、どんな入力テキストが回ってくるか、わからないんですね。
 あっ、「死せる魂」の作業、やってたの、すっかり、すっかり忘れてた!
 うげー。忘れてた、忘れてた……。今思い出した。永井荷風の「つゆのあとさき」の入力(したやつの見直し)が終わったら、やらないと……。
 これも、今考えると死ぬほどめんどくさい作業、負っちゃったもんですけど、「死せる魂」、知る人ぞ知るロシア作家ゴーゴリの名作ですけど、これ、翻訳がものすごい昔なんですね。
 だから、元のテキストが旧字旧かななんですね。
 きうじきうかなといふのは、このやうなものです。
 漢字出さないと「旧字」って言えないですが、携帯なので出せませんでした。
 それで、旧字旧かなっていうのは、今の言葉づかいにほぼ一対一対応で直せるんですけど、今の人、読むなら当然、そっちの方がいいじゃないですか。
 だから、僕がやってる入力の作業って、「入力しながら旧字旧かなを新字新かなに直す」作業、なんですね。
 これの面倒なところは、一つには、さっき「ほぼ」一対一対応するといいましたが、しない、というかわかんないところとか、出てくるんですね。
 そして、見直しの時には、ふつうだったら「テキスト同士が完全に一致してるか」っていう、極端な話目さえあれば、形が同じことを見てわかる人であれば出来る作業、だったのが、「新字新かなに直して入力されたものとして合ってるかどうか」を見なきゃいけないわけですね。
 ドラえも〜ん……。