漢字豆知識シリーズ、第一弾「圀」

 どうもこんにちは、シリーズ投げっ放しに定評のあるPさんです。よろしくおね。
 さて今回は、漢字豆知識です。漢字の中で、めっさわかりやすい起源のものがありますね。ある時に、ある人が案出した字というのが。山に登った時に、上がるのと下がるのの間だから「峠」とか、道の中で十字にまじわるところだから「辻」とか。
 ところで辻さん今どうしてるんでしょうね。相方、大変なことになってますけど。
 それはともかく、こういうのは「国字」と呼ばれていて、本来中国からシステムとして流れ込んできた漢字に、日本人が勝手に加えたものとして、なんというか、正統視されてないというか、そういうところがあります。
 でも文字に、言葉に「正統」だの「オリジナル」だのということは、あるのでしょうか。
 今の話からすると、「中国から伝わってきた文字こそがオリジナルだ」ということになりますが、その中国から渡ってきたそのままの字の一つに、「圀」という字があります。
 この字は「水戸光圀」の「圀」として有名ですが、これは「くに」「コク」と読まれ、つまりは「國」「国」の別体として同じ意味で扱われます。が、この字は実は則天武后武則天)という周の皇帝が考え出したものです。
「国」というのはまた日本で作られた略体で本字ではないのでそれまでの「コク」は「國」だったわけですが、その中に「或」が入っていることをきらって、んで、「國」っていう字はそもそも、「かこってある地域」といった意味を持っているのですが、それなら「八方」をタテ書きにして中に入れて、というので作られたのが「圀」という字なのです。八方、入ってますよね。
白川静『漢字百話』、「68 文字学の頽廃」より)
 豆知識はこれで終わりですが、それ自体もまた通り道でしかない「オリジナル」を求めすぎるのは、よくないことです。