ドライヴィング

 Pさんはまだ子供だったのです。なぜなら車を運転したことがなかったからです。Pさんは大人になりました。なぜなら車を運転したからです。
 家から車を出すには幾重にもクランクってる袋小路を脱出せねばならぬので、母に手伝ってもらいました。うちの車を使ってはじめて僕が教習車以外の車でドライヴィングに出かけたんです。
 横にかけている母は出発して一キロもしないうちに「あんたは危険だから」と言い出し駐車場をグルグル回る練習をするハメになりました。
 合宿で毎日走らせていただけに、それからの何週間かのブランクはバカにならず、そういえばのコツをつかむのにしばらくかかりました。縦列駐車すら、出来るようになったはずだったのに……。
 とにかく僕のドライヴィングは勇気がないので、公道に出ても制限速度をはるかに下回り、後ろから煽られる煽られる。
 飯を食ってまた家に帰るまでに「もし一人だったら事故ってた」ポイントは軽く10を超えたろうか。