教習記録(2)

 一週置かずに防犯登録に捕まる運の悪いというか不審というかPさんです。雑談メインの警官なので救われましたが、その会話の端々にどこに住んでいるのか、こんな時間に何をしているのか、これからどこへ向かうのか、の確認が含まれていたのはさすがとしか。
 言葉を職業にするというそのことに改めて感心したPさんなのでした。
 それはいいのですが、前の続きの教習所での出来事をゆっていきたいと思います、主な登場人物はF(1)さん、同じ生徒のS君になると思います、その前に。
 きのうようやく「注文の多い料理店」が仕上がりました。一連のテキストを音声に直すということのなんと困難なことか。地の文は表情を持ちセリフはノーマライズされ互いにその境界を曖昧にし、細かな声の掠れ震えが全体を変えるそのダイナミズムに私はただ翻弄されるままでした。
 その結果は近日中にしかるべきサイトでお聞かせできると思います。
 それで教習のことですが、Aさんのことはもうちょっとあるのですがその前に、Aさんの次にたしか、学科を習ったF(1)さんについて。
 いや、その前に教習のシステムについて。
 学科はわりかしわかりやすかったのですが、時間前に教室に行って話を聞いているだけだったので。しかも、せっかくノート用意したのに、結局学科の教科書にアンダーライン引いたりしかくで囲んだりアンダーラインを二重にしたりグルグル丸を書いたり教官の口癖をメモったりムンクそっくりの顔を書いたりするだけ、ひたすらそれだけだったので、なにほどのこともなかったです。
 ただ、前回Aさんの言った通り、「この50分間はこの(扉を閉めたその教室の直方体)外に出てはいけない」ということであったのに、何回か腹痛のピンチがおとずれたことと、これまた何回か、本当にヤバいくらい眠くなった時があったこと、この二つはかなりマズかったです。しかし教官にド突かれて親指が「Go Out」を指しているのを寝起きに見ることもなく、また周りの憐れみの視線を浴びながら臭い汁をぶちかますこともありませんでした。
(続く)