渋谷

 みなさんこんにちは。くそねむいです。Pさんです。眠いのに渋谷です。大した用事じゃないです。よろしくお願いします。
「私のいない高校」刊行を記念して行われている青木淳悟のフェアを見たくてリブロ渋谷店まで来ました。渋谷は歩き慣れないのでいったん副都心線から外へ出て、一番近い出口を間違えてもっかい地下へ潜って、ふたたび地上に姿を現して、しかしまだどっちを向いているのかわからないのでスクランブル交差点の向こうにある地図を見に行こうと思いました。
 信号が青になるとファッション誌のプロモーションビデオでも見てるのかと思うような、いかにも着飾ったうら若い女性ばかりが雪崩てくる様。
 そうでない人もその中にいて、歯が抜けているへらへらした青い服を着ているおじさんとか、服着てるんじゃないかと思うくらい真っ黒い上半身を晒してるホームレス風のおじさんとか、「聖書無料!」の看板を掲げてる外人とか。外人は地図の真下にいたのでガン無視して現在地を確かめました。
「公園通り」を緩やかに曲がった先に、パルコがある。まずはJRの線路沿いを歩く。先ほどは道玄坂をウロウロして、危うく六本木にでも行くところでした。
 急に化粧臭く驚くほど冷えた空気に囲繞されたと思ったら、西武の扉が開いていました。
 パルコの入り口のところでガリガリ君とそのフィアンセの着ぐるみを来た者たちが踊っていました。ガリガリ君フェアです。中途半端な人だかりと「○○円のうち○○円は被災地に寄付され……」というアナウンスを尻目に、階段を下っていくうち、そういう商法なのではないかと思えてきました。
 日本のポスターや旗はここに来るまでに何回見たことか。それはやはり商業としての規模です。デザインも商業風に凝ったものばかりです。誰も無益なものに、これだけの金はかけない、と考えると……。
 渋谷のリブロは思ったより広くなく、地下一階のワンフロア。新宿のジュンク堂や池袋のリブロみたいなのを思い浮かべてて肩すかしを食らいました。しかし各種写真集は充実していたり、「ゼロ年代」とか言ってたりしました。
 青木淳悟のフェアは何周もしたのに見あたりませんでした。サイン本が一冊だけ残って積んであるのは見ましたがその周りには最新刊のものが積んであるばかりです。フェアじゃない。ぐるっと回ってもぜんぜん見つからない。
「雑誌の方にあるか?」「もしかして漫画の方に?」「写真集の方にあるかも……」僕はこういうときにありえない可能性の方に囚われて常識的になれない傾向があります。普通に文学の棚の近くに、壁に張り付くようにしてありました。多少小規模なものかもしれないとは思ったが、これほどまでとは。
 10冊選んだのですが、ドラえもん、本当にただの地図、古事記などめちゃくちゃなのは「青木淳悟がますますわからなくなる」のフェアタイトル通り。目録はポケットに入れて地図と一冊だけのこったサイン本を買ってパルコを出ました。
 例のCMソングを延長したような曲に合わせてまだあいつら、ダンスを踊っていました。口の上部がアミアミになっていて、そこからダンサーは視覚を確保するというカラクリ。