トロピカル侍(1)

 アッツイですねえ! 急に。ん? あれは誰だ? トウッ! トロピカル侍、参場! 帰れ! 何だと!? さらばだ!
 トロピカル侍も帰ったところでどうもこんにちはPさんです。身の丈八十センチと椰子の実五つ分、気候は晴れやか、トロピカル侍とは僕はなんのつながりもなければましてや中学の同級生なんかではぜんぜんあり得ないあんな変人は見たこともないです。
 ところでトロピカルって単語は、なんかフルーツっぽいですが単に「熱帯」って意味なんですってねたしか。すごいフルーツっぽいんですけどね。「トロ」っときて「ピカ」るですからね。でも違うみたいです。
 だから僕のイメージしたトロピカル侍、敵に熟したマンゴーをぶつけまくって、ココナッツミルクをぶしゃぶしゃかけまくって、最後に背中の鞘に収まってるタロイモを引き抜いて一刀両断、一戦終えたら美女に囲まれてカラフルなジュースを飲んでは広ーーいプールに入って、最後には提携先のホテルの宣伝に入る、みたいなのはある意味合ってますがある意味間違ってるわけですね。
 っていうかトロピカルと侍を混ぜたのが大間違いなわけですね。
 っていうかほんとにトロピカル侍についてはどうでもいいしあいつ同じ中学だからっていつまでも金をせびるのもいい加減にしてほしいんですが、とにかく、昨日から暑い日が続きますね。まだ七月入ってないのにもう梅雨抜けたんですかね。梅雨よりはいいかな、暑い方が。僕暑い方はわりとこらえ性ありますよ、トロピカル侍もそうですけど。
 おまえいつの間に部屋に入った! いや、鍵開いてたし…… びっくりすんだろ、帰れ! 何だと!? さらばだ!
 だから、もう節電とかどこへやらでガンガン冷房かけてる店かなんかに入る度に「そこまでかけんでも」と思いますよね。そうだナッツ、ココナッツ。
 バン(窓閉める
 っていうかほんとに、結局こうなるのに、ノーマットやめて蚊取り線香にしようとか、アホかと思いませんか。節電節電って、感情に訴えるばっかりだと結局こうなっちゃうんですよ。と思いますけどね。
 でもなんか単純に言って、ついに日差しが熱く皮膚を焼くごとく感じられて、意識もそれほどはっきりしないまま、映像だけは陰翳くっきりとした街並み木々の中をくぐり抜けるのは何とも言えず気分をアゲる感じがしませんかね。
 それと、知り合いの方で、ガチ熱帯に住んでる人がいてまさかそんな知り合いが出来るとは思ってもみなかったですけど案外なものですね。「25度? 寒いやん!」っていう人です。
 25度はたしかに寒いな! ところで二万円ほど貸してくれないか、同胞よ! 帰れ!