TSUTAYAの功罪

 TSUTAYAのカードを、先々週くらいかな? 登録してからというもの、すごい量のアニメを借りてはPCにコピー……ゲフンゲフン、16倍速で再生しつつ隅から隅まで映像を暗記しています。
 頭の中に貼り付けるようにコピーするのは良くて、PCにコピーするのは良くない(私用ならまだ良いんですよね?)ということになっているのはなぜだろう。きっと、頭の中のイメージはそのままアウトプットすることは出来ないという思い込みによるのだろう。
 じっさい、僕の部屋には今に至るまでテレビを録画するものが一切なかったので、アニメを見る時は、それを丸ごと暗記するような気持ちで見ていた、というか暗記していた。ここでも技術の進歩が人間の能力をどんどん弱らせるということがわかる。
 アニメはUHFだといろんな放送局でカブって放送されたりする。しかし一回目でほぼ全て覚えるつもりで見る。二回目はあくまで念のためであって、それを頼りにしてはいけない。
 これは例の「三本の矢」のたとえをまつまでもなく、そのまま落語を、弟子が師匠から教わるやり方でもある。三回、目の前でやって見せるけれども、一回で覚えろ。
 落語ブームは来たけれども演芸界のこういう面は相変わらず遠い昔の世界の話のような、いわゆるアフリカの「語り部」を見るのと同じような視線しか使うことが出来ないでいる。これを現代の技術との兼ね合いで見なければ、本当にただクレープのブームとかたれパンダのブームとかと同じレベルになってしまう。それはヤバい、っていうかもったいない。イノベーションがどうとかモチベーティブリンカーコミュニケーションがどうとか言ってる間にこういう世界はどんどん遠去かってしまう。今そこにある世界をとらえなければ、二度目はもうやって来ない。
 僕は何を言いたいのかというと、自分に対して単純に気合いを入れているだけだ。DVDなんか、もうコピーし放題だから、わざわざ頭の中に丸ごと入れる必要はないけれども、こういうものに身を浸すことによって、どんどん身をけずるような感じで能力がそげ落ちていく。この妙な「すべり落ち」から身を護るには一体どうしたらいいのか。