鎌倉の日(4)

 滑川交差点の先は道が切れて、あとは海が広がっている。
 その前のハンバーガーショップを過ぎた辺りから、「この先は海しかない」というのが、おぼろげに見えた。その時の昂揚感といったらなかった。僕ら海沿いに住んでいない者は、驚くことに、「道の先にはまた道がある」「その先にも道がある」という、直感としては地球が丸いことをまだ知らない原始人と同じような感じ方をし続けている。何かの光景を前にして、絶対的に「先がない」ということを見せつけられる経験がないので、われわれの土地感覚はどうしても、「ここにはなくてもどうせ違うどこかにはある」という、厳然たる有限性を心の底では信じ切れない、何かあいまいに伸び広がっていくような感じを逃れられない。
 というその「光景」を前にしているような感じを受けた。
(つづく)