時間

 明日は休み。
 夜中にしとしとと雨が降る。
 雨は八月中にはほとんど降っていなかった。月が変わると同時に、堰を切ったように降りはじめた。夏は、はっきりと始まった記憶もないのに、秋は忽然とやって来た。
 秋の虫はちゃんと秋が来たのを知っていて、ここでしか秋は始まらないというタイミングでちゃんと鳴いてくれる。虫に暦が刻まれているわけはないが、それとは別にしっかりと刻まれているリズムが彼らを呼び起こす。
「それとは別にしっかりと刻まれているリズム」が、猛烈に狂いはじめたとすると、彼らにとって時間とはなんだろう。時間は過ぎるのだろうか。