ミノタウルスの迷宮

 こんにちは。Pです。
 学生抜けたらなんていうか、こう、「勉強!」っていうことやらなくなるじゃないですか。漫然と、降ってくるアラレをかじるような知識はやってきますが、学生時代みたいに、「そんなに興味ないけど覚えなきゃいけないから覚える」みたいな、また「ゴロ合わせしてでも丸暗記して覚える」みたいの、やらなくなったじゃないですか。
 まあそこまではいかないでも、僕なんていうか、常識的なところをいまいち抜かしてきたので、知ってて当然のところを知らなかったりするので、学校卒業したからにはそういうの自分で補わなきゃなとか思って、まさに独学のなんか始めることにしました。
 まずはギリシャ史。
 中公文庫から「世界の歴史」という、あらゆる地域の歴史をそれぞれ一冊にしたシリーズがあって、それの「ギリシャ・ローマ」篇を、ずーっと前になんかのためにと思って古本屋で買ったんですけど、なんかもなにも開かなくなってしまっていたのですが、今度の本の整理で出てきたので、チョビチョビ読むことにしたのですが。
 いくつか目が飛び出るような発見がありました。

トロヤ

トロイの木馬」って、コンピュータウィルスの代表的な呼び名だったりしてよく聞くと思いますが、これ、まあトロイっていう国があるのはわかると思いますが、もともとこの「木馬」(その中に英雄が入っていて、それをプレゼントとして送ることによって敵地に侵入して、一気にブァーって飛び出してメタメタにするという作戦ですが)を「送った」のがトロイ、なのではなくて、「が送られた」のがトロイなんですね。つまりトロイ悪者。送ったのが「ミケーネ」という国。
 っていう小発見もさることながら、その前の段落で「この戦いで活躍したアキレスもやぶれ、」みたいな風に書いてあるんですよ。
 アキレスって、たしか、星座にもなった伝説のなんかヤツですよね。
 でもその後トロヤもミケーネも、発掘(さる富豪、子供の頃から聞かされてたギリシャの伝説に胸を燃やし続けただけの非考古学者がその先鞭を切った)されたんですよね。つまり完全に実在した。え? ちょっと待って。
 ってなりますよね。つまり、トロイア戦争ってなかば「神話」として語り継がれていたし、つまりその実在は疑わしいものとして、「作り話」として認識されていたということだけど、少なくともその遺跡は実在した。国もあった。ということは戦争もあった。
 けど「アキレス腱」の命名のもとにもなった、なんていうか伝説的な健脚を持った末に星になったアキレスはいなかった。けど、アキレス自体は実在した……? しらないですけど。
 さらに。

ミノタウルスの迷宮

 聞いたことがあると思います。牛と人間のハーフであるミノタウルス。その化物が、とうてい逃げられないほどごちゃごちゃと込みいった迷宮の中心にいて、そこからもし逃げ出せれば……うんぬんという伝説。
 この迷宮、正しくは「クノッソスの迷宮」というらしいですが、実在したみたいです。
 この本に、その遺跡の航空写真が載っちゃってるんですが、それってアリ? なんか、あんまり見たくないものでしたね。伝説のままでとどめておきたいっていうか。だいいち、こうして一望すると、学校の教室でも見てるのと大差ないですが、中に入って歩くとまったくごちゃごちゃしているような性質のものであるかもしれないし……。
 西洋の精神の基盤を作ったギリシャの伝説が、全くその精神自体によってチープなものに暴かれたというのも皮肉なものですが、とにかくその迷宮が伝説から生まれた数多の美術に見られるように、本当にゴチャゴチャしてまた宗教的なまでに統一された形状ではなくて、なんというか、情けない姿で発掘されたというのは、なんか悲しいものがありますね。
 それと、半人半獣のミノタウルスですが、なんか降って沸いたやつなんじゃなくて、普通に(?)生まれてきたっていう、エグい来歴を持ちます。
 なんでも、王の妃が王に満足できずに、牛に手を出したら、生まれてきたとか……。
 たった数ページ読んだだけで、けっこうな発見があったので、これからも「勉強」、とはいってもこれは読み物のうちですが、続けてみたいと思います。