飛ばされる

 この日は入浴で、早番だった。
 休憩中、あこがれの人妻の先輩から、前の直属のリーダーが他のホームに異動することを聞かされた。このリーダーにはよくお世話になった上に、僕が、仕事と生き方の折り合いをどう付けるかということに関して、多く示唆をもらった人でもある。
 結局、その「生き方」を通していたから、このように飛ばされてしまった、と言って良いと思う、もちろん飛ばした人は「飛ばした」ことから既に否定するんだけれども。
 これだけ仕事が出来ながら、自身のオタク趣味を徹底的に通しているという意味でも、どこか勇気をもらえる先輩であった。
 ポジションの異動ならともかく、ホームが変わってしまうとなると、「いつでも連絡を取れる」とは言うものの、そうそう関わることもなくなるだろう。
 僕は一つ暗い人間になる。彼を「飛ばした」当の人達と一緒に仕事をするのだ。