十四日目

 そろそろ長い宿泊も終わりに近づいてまいりました、予定通り行けば。これ以上長い滞在は、またやるかどうか。貴重な外泊です。
 お金をよけいに持って来なかったので、落としたら至急資金調達に走らねばならぬところなのですが、みきわめ良好、学科の効果測定もストレートだったので、やや気を楽に持って明日の卒検に臨む所存です。
 所存なのですが、ところで、普段自分の裁量でものを食い、結果二十代男性の平均よりやや少ない量になるのが定例なわたくしことPさんが、青臭い高校卒業したての寮で暇を持て余せば筋トレに走るような精力有り余る男性諸氏の食べるのと同じ量食わされるので、贅肉の忍び寄る気配が和紙に垂らした薄い墨汁のようにジワジワと広がってきています。
 なので今まで疲れすぎて寝過ぎて遅刻とか最悪だしそんなに気分も乗らないし何をホテルに置いて何を持ち出して、とかの計算が面倒なので放って置いた、ランニングの習慣を、ここらで呼び覚ましておくかという気になってきました。帰るので、家のテンションに徐々に戻してこうという気もなくはないです。
 ところでそうしたところで先ほど揶揄した若者の習性、つまりみんな暇だから筋トレし始めたというこのことは三時限連続の応急救護の休憩時にポロッとこぼしたのを耳にしたわけですが、それと同じ穴のMUJIなになるわけですけど。
 その応急救護の教官、尊敬すべきAさんの話ですが、
「25になると一気に体力落ちるよ。
 それ聞いて、俺なんかそんなわけねえじゃんと思ってたわけよ。
 ガクッと落ちたね。もう若い子に付いて行くので精一杯。
 それでもう三十だからね。お前等覚えとけよ」
ということだったので、裏を返せば? 別の言い方すれば、今現に体力もなくあった試しのないわたくしのような人間は、若い頃であったなら確実に筋力向上したであろうくらいやって初めて体力の維持くらいは出来るだろう、いうことになりはすまいか。
 怖ろしいことですが、事実は矯めようもないので。維持すること、これから頑張ろうと、尊敬すべきAさんの言葉を信じてちょっとした決意をしたというのもあります。